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『あきない世傳 金と銀(十一)風待ち篇』仕事本としても読める小説

『あきない世傳 金と銀(十一)風待ち篇』発売になりましたね!

どれくらい続くシリーズものになるかわかりませんが、11巻も続く長編になるとは思っていませんでした。
髙田郁さんの小説の中で、一番のシリーズ小説になっています。

しかも、まだまだ話は続きそうな予感(あくまで、私の予感です。)
気になること、解決できていないことがいくつか残っているからです。

でも11巻を読み終えて、確実にクライマックスに近づきつつあるのも感じています。

いろいろな試練の中でも、店のため、身近な人のために、手を差し伸べ、頑張ってきた幸や仲間たちにとって、明るい未来が見えてきました。

ただの面白い小説というだけでなく、仕事をするうえでも役立つ本、人生のお手本にもなる内容です。

『あきない世傳 金と銀(十一)風待ち篇』を読んだ感想をお伝えします。

あきない世傳 金と銀(十一)風待ち篇』発売!

『あきない世傳 金と銀(十一)風待ち篇』仕事本としても読める小説

『あきない世傳 金と銀(十一)風待ち篇』は、2021年8月10日に発売されました。

前の10巻では、晴れ晴れとした思いがいくつか重なり、涙の感動シーンで終わっていました。
花火大会できれいな景色に感動した人たちは、藍染めされた花火模様の浴衣にどれだけ心奪われたでしょう。

それまでは、お風呂上がりに着る湯帷子(ゆかたびら)でしかなかったものを、浴衣として登場させたシーンでした。

10巻の内容を思い返したいならこちらの記事をどうぞ。
≫『あきない世傳 金と銀(十)合流篇』の感想

ただ、まだ残されている問題はいくつかあります。

  • 菊栄のかんざしの商売
  • 結との問題
  • 五鈴屋の呉服商への復活

11巻では、進展するでしょうか?

『あきない世傳 金と銀(十一)風待ち篇』のあらすじ

10巻での感動の余韻をふたたび思い出させてくれる、おめでたい話からはじまります。
五鈴屋江戸本店、8周年に梅の祝言。

不吉な予言が的中する

街にも活気があふれる中、実は不吉な予言も流れていました。

「末禄十年辰の年」
この頃、江戸ではやっていた三河万歳(伝統芸能)の一節にあり「来年は必ずや災難の多い年になる」との予言を唄ったもの。
「ちょうど来年は宝暦十年で辰年だから、厄災に見舞われるに違いない」という噂が流れていたのです。

そして、年は明け宝暦十年となり、2月のある夜、予言は現実のものとなってしまいました。

連日に続き大火事が起こり、江戸の多くを焼け野原としてしまったのです。
のちに「明石屋火事」と呼ばれるこの大火事で、ひどい困難の状況に立たされることになった街の人々。

それに、災難のあとには悪知恵を働かせる者も出てきます。

ここから先、ネタバレあり!
読みたくない人は、感想まで飛ばしてね。

技を共有して商売を広げる

しかし、そんな状況の中、五鈴屋の賢輔はある図案を作り上げます。
それは、拍子木を柄にした「火の用心」の紋様でした。

幸は、その柄を浅草太物仲間に見せ「型染め技を共有して、仲間のどの店でも藍染め浴衣地を商売できるようにしたい。」と伝えます。
「この柄なら、五鈴屋の独擅場(どくせんじょう)になるのに。」と驚く仲間たちに、幸はこう告げる。

「江戸の人々の暮らしに根付き、息長く愛用され、あとの世にも伝えられる浴衣地を伝えたい。」

浅草太物仲間での一斉売り出しを決め、準備を進めることになります。

五鈴屋にとっても、今後の流れを変える大事な瞬間でした。

風待ちのとき

そんな中、併用して進む話が菊栄のかんざし。

菊栄は、自分が考えた美しいかんざしを、商売としてどうやって広めて売っていこうか、じっくりと確実に進めてきました。
大火事でいちど後戻りしてしまったものの、着実にお披露目のときは近づいていました。

なのに、今度こそ、というときに横ヤリが!

また同じ頃には、浅草太物仲間の間でも、繰綿が手に入りにくい事態が起こっていました。
布になるまでの大事な繰綿を、誰かが悪意に買い占めているという。

こういった不運なできごとの陰には、音羽屋がからんでいることが多くなっていました。
音羽屋は幸の妹である結の嫁ぎ先。
無念な思いを抱え、自身も心を痛めているであろう幸は、みんなに言います。

「今は大海に出る前の、風待ちのときだと思っています。」

その言葉にうなずく仲間たちは、辛抱強く自分のやるべきことに向き合います。

そして、五鈴屋江戸本店は開店して丸9年がたちました。

菊栄のかんざしも、ある人のはからいで無事にお披露目されました。
その美しく輝くかんざしは、女性たちを惹きつけ、確実に広まっていくことでしょう。

買うての幸い、売っての幸せ

そのあとの話は好転します。
それは、これまで五鈴屋が一人一人のお客様を大事にしてきたご縁から授かった商いの話。

天赦日に訪れた客からの注文は「相撲力士たちへの藍染め浴衣」。

この頃は、男性しか相撲を見ることはできなくて、夢中になる人も多く、人気の行事でした。

その力士たちの藍染め浴衣、果たしてどんな柄に仕上がったのかな。

そして、幸はその商いを、ただそのまま受けるのではなく、さらにみんなにとってよりよい方へと発展させていきます。
まさに「買うての幸い、売っての幸せ

読んだ感想

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いつも読んでいて感心するばかりです。

「こうやって商売って発展していくんだ」
「こんな案を思いついたら楽しいだろうな」

どれも、自分たちの利益のことだけでなく、買ってくださるお客様のことを思ってのこと、または、長く根付かせたい商売のことを思ってのこと。

こういった知恵や策は、全ての商売、どんな仕事にも共通しますよね。

『あきない世傳 金と銀』は、ただの面白い時代小説ではなく、仕事本としてもオススメです。
根本的に大事なことを教えてくれます。

大坂本店からはじまり、江戸に店を出してもう9年。
これまでに様々な困難があり、乗り越えてきました。

とくに、江戸に来て数年後に、呉服仲間からはずされ呉服を扱えなくなるという事態になったときには、お先真っ暗、という感じでした。
≫『あきない世傳金と銀(九)淵泉篇』の感想

その呉服を扱えない状況はまだ続いています。
木綿しか扱えなくなっても、できることを考え商売を続けていく幸たち。
湯帷子から浴衣を誕生させ、この11巻では藍染め浴衣をさらに発展させていく様子が見えます。

実は、無事にひとつの商売を成功させたところへ、またよい話が出てきます。
11巻での最後のシーンになりますが、いよいよ…といった待ち遠しい気持ちになっています。
まわりの人たちへ与えていったものは、ちゃんと返ってくるんですね。

  • 一緒に助け合う
  • ご縁を大事にする

忘れないようにしたいです。

無事に呉服商への復活を果たせるのか?
結との関係はどうなるのか?

そうカンタンには進まないように思います。
また、横ヤリが入るのでしょうか?

まだまだ、読者を楽しませてくれる気がしています。

最後に

『あきない世傳 金と銀(十一)風待ち篇』を読んだ感想でした。

前の10巻のラストを思い出して、またウルウルしていました。

11巻もとても充実した内容になっています。
仕事本としても読めますが、人生の上でも大事なことを教えてくれる本です。

この先、どんな展開になるのか、とても楽しみで、次の12巻が待ち遠しいです。

髙田郁さんの本はぜんぶ読んでいます。
『あきない世傳 金と銀』は1番長いシリーズ小説になっています。

おうち時間が長いなら、シリーズ小説を読むのもオススメですよ。

≫髙田郁さんのおすすめの本は?全作品を読んだのでまとめてみた

www.mitsu-note.com

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