夏川草介さんの『本を守ろうとする猫の話』を紹介します。
夏川草介さんと言えば『神様のカルテ』が有名ですが、『本を守ろうとする猫の話』はファンタジー小説です。
猫と本が出てくるお話、と聞けば興味を持たずにはいられません。^^
あらゆる場所に閉じ込められた本を助けようとする、猫と高校生の夏木林太郎。
読み終わると、もっといろいろな本をじっくりと読みたくなるストーリー。
この本は、読書術をファンタジー化した作品だ!と思いました。
読書術の本って、内容たっぷりの読みごたえのある本が多いですが、この『本を守ろうとする猫の話』でも、本の読み方がわかります。
しかも、読みやすくてわかりやすい!
それに、本が与えてくれる最大のメリットが分かります。
1冊のお気に入りの本を何度も読み返すのもよし、新しい本をじっくり読み始めるのもよし。
自分は本をどう読みたいだろう?
ちょっとそんな風に考えたりもする『本を守ろうとする猫の話』の内容と、読んだ感想をお伝えします。
『本を守ろうとする猫の話』の内容
2017年小学館より発行
祖父と暮らしていた高校生の夏木林太郎。
その祖父が亡くなり、林太郎は叔母に引き取られることになりました。
祖父が営んでいた古書店「夏木書店」をたたむことになったとき、林太郎の前に、人間の言葉を話すトラネコが現れました。
「本を助け出すためにお前の力を借りたい」
ネコは林太郎にそう言い、ほぼ強引に林太郎をいくつかの場所に連れて行くのです。
その場所とは本が閉じ込められている迷宮。
あらゆる状況で閉じ込められた本を、林太郎はどうやって助け出すのか。
というストーリーです。
林太郎自身の気持ちや行動も、少しずつ変わっていきます。
本を読むことで得られること
『本を守ろうとする猫の話』の最後に、本を読むことで得られること、本が持つ力について林太郎が語るシーンがあります。
その部分を読みながら、そうそうとうなすきながらも、「本の力」については私には新たな発見がありました。
それは、本を読んで気づいている人も多いでしょうが、言葉で表現しにくいこと。
それを、ここで見事に言語化してくれています。
『本を守ろうとする猫の話』を読んだ感想
本の読み方を問う本、とも言えます。
世の中に、本の読み方や読書術などの書籍はたくさんあり、私もそういうのを読むのが好きなのでたくさん読んできました。
内容も著者によって変わり、速読や多読をすすめている本もあります。
『本を守ろうとする猫の話』は、その読書術をまとめた内容、とも言えるかも。
この話の中で、本を閉じ込めている人たちは、極端な読み方をしていて、それをまわりにも強要しているところがあります。
人それぞれの本の読み方があっていいと思うけど、それを押し付けるのはやっぱり違う気がします。
もちろん、目的があって読む知識本などは別として、小説や物語を読むのに、飛ばし読みなんてありえないですよね。
この主人公の林太郎は高校生だけど、祖父の影響からか本にとても詳しいです。
お店に本を買いに来てくれる、同級生の女子に言った言葉が印象的でした。
確かに、そうかもしれないですね。
苦手な古典も読み続けていると、面白くなってくるかもしれない?
そして、この本の最大のテーマとも言える「本の力」
林太郎が導き出した答えは見事でした。
人それぞれ、本から得られるメリットはいろいろだと思うけど、小説を読むと少なからずとも、その力をもらってるような気がします。
自分では気づいていないかもしれないけど、その力を蓄えていっているかもしれません。
だから、やっぱり本を読むことはオススメしたい。
コレは、他の本だったけど
「読んできた本で今の自分ができている」
というようなことが書かれていたのを、よく覚えています。
知識や知らない世界が増えるのももちろんだけど、それ以外にも本には大事な力があるんですね。
それは何だと思いますか?
考えて、自分なりの答えを出してみてもいいですね。
最後に
『本を守ろうとする猫の話』を読んだ感想をお伝えしました。
夏川草介さん、はじめてのファンタジー小説です。
読み終えて、読書術をファンタジー化しような話だと思いました。
この1冊で、本の読み方もわかります。
もちろん、本は自分の好きなように読んで大丈夫だし、本が好きな人ならきっと、本を大事に扱っているでしょう。
そして、本が与えてくれる力には何があるか、一度じっくり考えてみるのもいいですよ。