恩田陸さんの『蜜蜂と遠雷』を紹介します。
『蜜蜂と遠雷』は3年前に発行された本で、直木賞と本屋大賞のW受賞作品です。
このたび、映画化されることが決定しました!
私は小説はすでに読んでいます。
本『蜜蜂と遠雷』を読んだ感想をお伝えします。
『蜜蜂と遠雷』の内容紹介・あらすじは?
俺はまだ、神に愛されているだろうか?
ピアノコンクールを舞台に、人間の才能と運命、そして音楽を描き切った青春群像小説。
2016年9月 幻冬舎より単行本にて発行
あらすじ
3年ごとに開催される芳ヶ江国際ピアノコンクール。「ここを制した者は世界最高峰のS国際ピアノコンクールで優勝する」ジンクスがあり近年、覇者である新たな才能の出現は音楽界の事件となっていた。養蜂家の父とともに各地を転々とし自宅にピアノを持たない少年・風間塵15歳。かつて天才少女として国内外のジュニアコンクールを制覇しCDデビューもしながら13歳のときの母の突然の死去以来、長らくピアノが弾けなかった栄伝亜夜20歳。音大出身だが今は楽器店勤務のサラリーマンでコンクール年齢制限ギリギリの高島明石28歳。完璧な演奏技術と音楽性で優勝候補と目される名門ジュリアード音楽院のマサル・C・レヴィ=アナトール19歳。彼ら以外にも数多の天才たちが繰り広げる競争という名の自らとの闘い。第1次から3次予選そして本選を勝ち抜き優勝するのは誰なのか?
引用:Amazonの紹介ページより
主な登場人物は4人
風間塵・栄伝亜夜・高島明石・マサル・C・レヴィ=アナトール
物語は
各々が過去を背負い、現実と向き合いながらも、様々な思いを抱いて1曲、1曲に魂を込めて演奏する。
本を読んでいるだけで、音楽が流れてきそうな物語です。
そして、実際にその演奏曲を聴きたくなります。
この4人以外にも、魅力的な演奏家が出てきて、一人一人が自分の弾き方で、観客を魅了します。
単行本にして約500ページの長編大作!
しかも、本文は2段に分かれています!
読みごたえありっ!
(今、友人に貸しているので中をお見せできない・・・。m(_ _)m)
これで1800円(税抜き)は安い!と思いましたよ。
私は単行本を購入して読みましたが、これほどの長編でも全く苦にならないほど、のめり込む素晴らしい作品でした。
タイトルの「蜜蜂と遠雷」の意味
『蜜蜂と遠雷』の中でこういうシーンが描かれています。
蜜蜂について
明るい野山を群れ飛ぶ無数の蜜蜂は、世界を祝福する音符であると。 そして、世界とは、いつもなんという市場の音楽に満たされて居たことだろう。
遠雷については
遠いところで、低く雷が鳴っている。冬の雷。何かが胸の奥で泡立つ感じが した。
蜜蜂は、昆虫であり人間の社会性を表していて、雷は遠い存在の神を表現されているので、人間と神という意味にとらえられる。
また、小説の中の人物、風間塵(蜜蜂)とコンクール前に亡くなってしまった塵の指導者だったホフマン(遠雷)を表しているのでは、とも想像されているようです。
そうです、このタイトル『蜜蜂と遠雷』の意味するところは明かされていないのです。
読者が自分の中で解釈しても大丈夫なのです。
私なら・・・
ピアノを弾く指の細かい動き、そこから奏でられる音楽、それが蜜蜂。
演奏者の思いは遠雷、遥か遠くから自分だけに降りてくる響き。
そんな風にも思います。
『蜜蜂と遠雷』を読んだ感想
これだけたくさんの曲が出てくる小説は他にはないかもしれません。
先にも述べましたが、曲が出てくるたびに聴きたくなります。
(架空の作曲家の作品もあります。)
ただコンクールが数日行われるという単純なストーリーなのに、冒頭から興味を抱かずにはいられません。
全てが心に響きました。
最後まで飽きることなく、観客(読者)でいられます。
音楽ってこんなに素晴らしいものだったのか、と。
何て素敵な芸術なんだろう、とも。
これ程までに自分を表現でき、そして感動を与えてくれるアーティスト=演奏者に出会いたい。
こんなコンクールがあれば、是非とも聴きに行きたい。
聴きに行きたい、そう思っていました。
聴きに行けるではないですか!
映画『蜜蜂と遠雷』の情報
何と、映画化です!
恩田陸さん「映画化は無謀、そう思っていました。『参りました』を通り越して『やってくれました!』の一言です。」
ホントですか!恩田陸さん!
期待して大丈夫なのですね。
だから、見に行きますよ。聴きに行きますよ!
『蜜蜂と遠雷』先に小説を読むか、読まずに映画を見に行くか、それは自由です。
『蜜蜂と遠雷』は音楽が好きな人におすすめ
映画は公開前だから、まだ何とも言えませんが、小説は素晴らしい作品です。
- 音楽を演奏する人
- 演奏はしないけど、音楽を聴くのが好きな人
特にクラシック音楽が好きな人に、おすすめです。
私は、それほどクラシックを聴くわけではなく、多少ピアノを弾けるくらいですが、じゅうぶん楽しめました。
ただ、この小説『蜜蜂と遠雷』を読まれた方の評価が分かれているのも事実です。
私の感想でも述べましたが、
小説の内容は、所々で演奏家たちの私生活や背景も描かれてはいますが、本当にほとんどコンクールの経緯を記述しているだけ、それを物足りないと思う方もいるのです。
でも、私はその記述の仕方、音楽の表現の描写、また演奏者の感情などが、読んでいて伝わってきて、恩田陸さんすごい!と素直に思いました。
読みはじめてすぐに物語に引き込まれるか、そうでないかで、感想は決まるかもしれません。
今は文庫本も発売されています。
最後に
『蜜蜂と遠雷』を紹介しました。
いかがでしたか?少し興味を持たれた方はいましたか?
小説の『蜜蜂と遠雷』の500ページを読むのは大変!という方はCDを聴いてみるのもいい
もしれません。
『蜜蜂と遠雷』の中の演奏曲を収録したCDが発売されています。
私はこの『蜜蜂と遠雷』がどんな風に映画化されているのか、とても楽しみです。
コンサートを聴きに行くような気持ちで観に行きたいと思っています。
先の楽しみができたね。
そう、楽しみなことをたくさん予定しておくといいよ。
追記
後日、映画『蜜蜂と遠雷』を観に行ってきました。
感想の記事はこちらです。