『蜜蜂と遠雷』の映画を観てきたのでレビューします。
『蜜蜂と遠雷』は、恩田陸さんの小説をもとに映像化された作品でで、音楽をたっぷり楽しめます。
私は小説も読んでいたので、映像化されると知って、とても楽しみにしていました。
だから、期待して観に行ったのですが、予想以上に感動しました!
映画『蜜蜂と遠雷』の見どころと、観た感想をお伝えします。
映画『蜜蜂と遠雷』の内容
主な登場人物は、コンクールに挑む4人です。
カンタンに一人ずつ紹介します。
7年のブランクを乗り越えての、晴れ舞台です。
見事な実力を備えて、コンクールの大本命として登場します。
楽器店に務めながらもわずかな時間をピアノの練習にあてて、生活者の音楽を届けようとします。
亡きピアニストのホフマンが見い出した人物ながら、新しい風を巻き起こします。
この4人が、3年に一度、開催されるコンクールに挑みます。
若手ピアニストの登竜門として注目される、芳ヶ江国際ピアノコンクールです。
4人の過去や、ピアノに対する思い、練習風景に、お互いのつながりや意識していることなど、2時間に見事にたっぷり詰まっています。
音楽もじゅうぶんに楽しめながら、ストーリーとしても完璧でした。
小説を読んでから観た
小説『蜜蜂と遠雷』は史上初の直木賞・本屋大賞のW受賞の大作長編です。
私は、先に本を読んでいて、感想は別で紹介しています。
>本も映画も楽しめる『蜜蜂と遠雷』の感想【音楽好きな人におすすめ!】
映像化不可能と言われていた作品が、どういう風に表現されているのか、とても気になっていました。
始めから終わりまでずっと、音楽コンクールの話で、実際にはない音楽も出てきます。
小説『蜜蜂と遠雷』の面白さは、コンクールに出場する4人の演奏風景と、その背景が綿密に描かれているところでした。
自分の中で、人物やそのコンクールの場面を想像しては、頭の中で音楽がずっと奏でられているように、読むことができた本でした。
こんなコンクールがあったら、絶対に聴きに行きたい!
とても思いました。
それほど、クラシックに詳しくないですが、何度か聴きに行ったことがあります。
やっぱり、生演奏は素晴らしです。
だから、今回の映画化はとても楽しみにしていて、この大作をどうやって2時間にまとめているのかも、気になっていました。
『蜜蜂と遠雷』映画の見どころ
私が感じた、映画の見どころです。
内容をあまり知りたくない人は、飛ばしてください。
- 「春と修羅」を弾くシーン
- 亜夜と塵の連弾
- 高島明石の生活者の音楽
「春と修羅」を弾くシーン
課題曲で「春と修羅」を途中からカデンツァ(即興演奏)で弾くシーンがあります。
宮沢賢治の詩に想を得た新曲となっているのですが、このカデンツァを演奏者は自分で作曲して演奏するのです。
この一人ひとり違った演奏は見もの、聴き応えがあります。
カデンツァとは、主として協奏曲のエンディング(終曲)部分に演奏されるアド・リブ風のソロ(独奏)を指す。高度のテクニックを必要とするものが多い。また、カデンツァは、終止形(ケーデンス)の意味で使われる事もある。
引用:音楽用語集より
実際のコンクールでカデンツァで弾くことはないらしくて、ここは著者の恩田陸さんのアイデアのすごさになっています。
そして、その恩田陸さんの求める音楽を、実際に作曲された藤倉大さんも素晴らしいですよね。
亜夜と塵のセッション
亜夜と塵が1台のピアノで連弾をするシーンがあります。
部屋の窓から見える月を見ながら奏でる音楽は、月をイメージした数々の曲。
クラシック音楽に詳しい人なら、全部わかるかな?
いつも、ピアノを楽しそうに弾く塵につられるように、亜夜もピアノを楽しそうに弾き、そんな2人の姿に微笑ましくなります。
高島明石の生活者の音楽
「普通の生活をしている社会の上でわかる音楽を表現したい」と、自分のピアノ演奏に思いを乗せる明石。
コンクールでは成果が出なかったように見えても、実際のところでは、その音楽に心を揺さぶられた人がいたとわかるシーンがあります。
映画『蜜蜂と遠雷』感想
正直、私は本で先に読んでいるから、理解しやすかった部分もあるかも知れません。
だから、本を読まれていないと、どこまでその登場人物たちの背景や思いをとらえることができるのかは、何とも言えません。
でも、本当に演奏を聴きに行っている感動は味わえました。
コンサートを聴くことが好きな方なら、楽しめるのではないかと思います。
音楽の才能について、恩田陸さんはこう述べています。
ソロで発揮される才能、室内楽で発揮される才能、教えることで発揮される才能。
最年長で出場した明石のように、ただ「弾き続けたい」と一途に思えることだって才能。
舞台で堂々と音楽を奏でられるのも才能、そんな才能を持った音楽家たちには、これからも観客を感動させて欲しいと思います。
ラストのそれぞれのコンチェルトの演奏は、本当に素晴らしかった。
オーケストラに合わせてピアノを弾くコンチェルト。
実際にピアノを弾かれているのは、もちろん、別のピアニストの方々で、俳優さんたちの演技とギャップが感じられるのは仕方がありません。
合わせるのは、本当に至難の業だと思います。
でも、本当のコンクールだとなかなか手元まで見れませんが、その手の動きも見ながら演奏を聞くという経験も映画ならではだと思いました。
正直に言って、感動しました。
2時間、ずっと音楽にひたっていられます。
そして、もう一度ラストのコンチェルトを聴きたいと思います。
あと、ずっとホールのステージマネージャーとして出演者たちを見守ってきた田久保さん。
彼のしみじみと伝わるあたたかさが、映画全体の雰囲気を優しくしてくれています。
ラストで亜夜に声をかけたシーンでは、感極まって泣いてしまったほどでした。
最後に
『蜜蜂と遠雷』の映画の感想をお伝えしました。
この『蜜蜂と遠雷』はピアノコンクールの話ですが、蹴落とし合うのでなく、支え合って、温かく見守り合って、それぞれが苦悩を乗り越え、道を開いていきます。
そんな話が好きななら、とてもオススメの映画です。(^^)