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アガサ・クリスティーの『愛の重さ』は叙情小説【感想】償うとは

アガサ・クリスティーの『愛の重さ』を読みました。

アガサ・クリスティーと言えばミステリーですが、『愛の重さ』はミステリーではありません。
ミステリー以外の小説もおすすめなんですよ。
叙情小説とも呼ばれる恋愛小説です。

愛にもいろいろな愛の形がありますね。
恋愛だけでなく、家族愛に、兄弟(姉妹)愛、ペットへの愛に、仕事愛・・・。
もっといろいろ出てきそうですが、『愛の重さ』では、家族や姉妹の愛情も描かれています。
それが、とても繊細で深いのです。 

しかし、この小説『愛の重さ』では、単に愛情表現だけを描いているのではなく、最も伝えたいことはラストにあります。

アガサ・クリスティーの『愛の重さ』を紹介します。

アガサ・クリスティーの『愛の重さ』あらすじ

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ローラは寂しい少女だった。両親の愛は、若くして死んだ兄に向けられ、さらに生まれたばかりの妹シャーリーがその愛を奪おうとしている。ローラは嫉妬を覚えた。だが、家が火災に見舞われ妹を救いだしたことで、ローラは愛する歓びを知り、ひたすらシャーリーに愛を注ぎこむ。それが妹の重荷になるとも知らず…。

悲しくも両親からの愛情を感じることができなかったローラは、妹のシャーリーに嫉妬し、殺意をも覚えるほどでした。

しかし事態は一転して、ローラにとってシャーリーはかけがえのない愛する人になってしまいます。

そのシャーリーは恋愛して結婚することになります。
ローラは不安を抱えつつも、温かく見守ることにしましたが、ジャーリーにとって結婚生活は試練の始まりでした。

姉妹の恋愛は?
2人の行く末は?

物語は、どちらかと言うと、淡々と進みます。

驚きの展開や、熱く燃えるような恋を描かれている、というわけでもありません。 

後半は、テンポの遅さに、もどかしさも感じてしまうかもしれませんが、ぐっとガマンして最後まで読んでください。

『愛の重さ』を読んだ感想

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ネタバレになるので、あまり詳しくは書けませんし、じっくり読んで欲しい本なので内容紹介は短めにしました。

『愛の重さ』はミステリーではありません。

恋愛小説とも言われますが、その要素もちょっと少ない気がします。
解説では、叙情小説とされていました。

私が思うには、ミステリー要素を含んだ叙情小説で、妹思いの姉の気持ちを描いた人間ドラマです。

『愛の重さ』は、ラストまで読んだところで、読者も姉のローラと同じ感情が得られます。

どうしても、ある意識から逃れられなかったローラ。
その気持ちを救って、開放してくれるシーンです。
氷が溶けるように、固く閉ざされたローラの心を温めてくれた人物とは。

このシーンで、読んでいる方も、目が覚めたような、そして救われた気持ちになります。

「許す」という難しいけど大事なこと、
「与える」だけでなく、「受ける」ことも学ぶ必要性、
どんな人も幸せに生きる道はある。
そのために、心に留めておくことは・・・。

情熱的と言うよりは、静かな物語。
それでも、どこか入り込んでしまうストーリーの中には、愛や心情が繊細に、そして深く描かれています。

この物語を読めてよかった、と思いました。

そして、あらためてアガサ・クリスティーの凄さも感じることができました。

おわりに

アガサ・クリスティーの『愛の重さ』を紹介しました。
愛だけでなく、誰もが抱える人間の後ろめたさや嫉妬も描いた作品です。

何かにとらわれている人、幸せは目の前にあるのに、怖くてその幸せをつかめない人、
もし、そんな人がいたら読んでみて欲しい1冊です。

アガサ・クリスティーはミステリーしか読んだことがなかった人にも、おすすめです。

アガサ・クリスティーは、他にもミステリー以外の小説を書いています。

『愛の旋律』の感想はこちら。

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アガサクリスティーの全作品を紹介した解説本もおすすめです。

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