2周間前にトークライブに行って、購入することになった本を読みました。
『線は、僕を描く』です。
トークライブについては、以前に紹介しました。
『線は、僕を描く』は水墨画家で作家の水墨画家の砥上裕將さんの小説です。
生きる意味を考える、生きる上でも大切なことに気づける内容でした。
『線は、僕を描く』を、読んだ感想と合わせて紹介します。
水墨画小説『線は僕を描く』砥上 裕將
『線は、僕を描く』 砥上裕將
2019年7月 講談社発行 317ページ 定価1500円
第59回 メフィスト賞受賞作
小説の向こうに絵が見える! 美しさに涙あふれる読書体験
両親を交通事故で失い、喪失感の中にあった大学生の青山霜介は、アルバイト先の展覧会場で水墨画の巨匠・篠田湖山と出会う。
なぜか湖山に気に入られ、その場で内弟子にされてしまう霜介。
それに反発した湖山の孫・千瑛は、翌年の「湖山賞」をかけて霜介と勝負すると宣言する。
水墨画とは、筆先から生みだされる「線」の芸術。 描くのは「命」。
はじめての水墨画に戸惑いながらも魅了されていく霜介は、線を描くことで次第に恢復していく。
引用:Amazonの内容紹介より
この本を読むきっかけとなったのは、冒頭でもお伝えした通り、トークライブに行って紹介されていたからです。
この本『線は、僕を描く』の著者の砥上裕將さんのお話を聞き、実際に水墨画の実演を見て、小説にも興味を持ったのです。
生きる意味を考える小説
一人の大学生の青年、青山霜介が水墨画と出会って、水墨画に取り組むうちに、自分の心と向き合い、幸せを見つける話です。
霜介は水墨画の湖山先生や周りの人たちから、いろいろな教えを学んでいきます。
読んでいる方も、この言葉一つひとつにじっくり考えさせられたり、はっと気づかされたりして、大事なことを学びながら読み進めました。
どういった事を教えられたか、少しだけ紹介してみます。
子供のように無邪気に描ければ、その人は天才になれる。失敗することが楽しければ、成功したときはもっと嬉しいし、楽しいに決まっている
とにかく最初は描くこと。成功を目指しながら、数々の失敗を大胆に繰り返すこと。そして学ぶこと。学ぶことを楽しむこと。失敗からしか学べないことは多い。
他にも、もっといろいろあります。
後半につれ、その教えや言葉はだんだん深くなっていきます。
森羅万象というのは、宇宙のことだ。宇宙とは確かに現象のことだ。現象とは、いまあるこの世界のありのままの現実ということだ。だがね・・・・。
命を見なさい。
四時無形のときの流れにしたがって、ただありのままに生きようとする命に、頭を深く垂れて教えを請いなさい。
水墨画「春蘭」の意味から
水墨画を題材とした小説なので、水墨画の原点や本質、要素、そして水墨画から学べることがたくさん書かれていますが、
それは、生きる上でも大切な教えだったのです。
考えれば、油絵などは途中で何度も上から塗り替えることができます。
でも、水墨画はいわば一発勝負なのです。
一つひとつの線から描いていく水墨画は、その1本1本がとても大事なのです。
その1本に命を吹き込んでいるのです。
墨の濃淡、筆使い、そこから描き出される水墨画は魔法のようです。
この本を読んだ後に見た水墨画は、全く違う目で見ることができました。
トークライブの実演で、砥上さんが描かれた水墨画の「春蘭」です。
「蘭に始まり、蘭に終わる。」
水墨画の全てはここから始まるそうです。
「一筆だって間違っちゃいけない場所に勇気をもって挑んでいくのが、水墨画――」
勇気がなければ線は引けない
そして、
やってみることが大事、自然であることが大切
『線は僕を描く』を読んだ感想
実際に読んでみて、とても読みやすい話で、その話の流れさえも水墨画のようにさらさらと流れていくような感じでした。
霜介は湖山先生と出会えたことで、それまでとは全く違う道に進んでいくのですが、
人と人との縁は出会えるところで出会って、奇跡に近いものもあるというのを考えさせられました。
と、同時にそんな湖山先生のように立派な先生でなくても、大人であるなら、若い人たちに目をかけて、関心を寄せてあげることが大事なのでは、とも思います。
その湖山先生の揮毫(きもう)会での大きな水墨画の実演は見ものです。
読んでいるのですが、まるで見ているかように描かれています。
そんな本当に見えてくるような水墨画の作品がいくつも出てきて、もっと水墨画に興味を持ちました。
これから、水墨画を見る時には明らかに違う思いで鑑賞できます。
先程、さらさらと流れるように読んだと書きましたが、
湖山先生の揮毫会が始まる辺りからラストに向けては、まるでクラシック音楽を聞いているかの様な気分の高揚でした。
徐々にクライマックスに向けてシンバルが響き渡るような、そう交響曲の様な。
そして、やがてまた静かに音が引いていくのです。
読んでいて、主人公の霜介と一緒に水墨画の本質とは何かを考え、少しずつそこに迫っていく。
命を見る。
思いを絵にする。
その手から生まれるもの。
線は、僕を描く
の意味するところ
水墨画の仕上げと同じ様に、小説のラストで何とも言えない優しくて深い感動が溢れてきました。
水墨画の春蘭の紹介でも、その意味をお伝えしましたが、水墨画を習い描いているうちに、人生をも学んでいたんですね。
だから、この本『線は、僕を描く』は人生を学べる小説だと思います。
『線は僕を描く』をおすすめしたい人
どんな人に『線は僕を描く』を読んでもらいたいか、考えてみました。
- 美しいものに出会いたい人
- 絵を描くことが好きな人
- クラシック音楽を聴いた時の感動が好きな人
- 花や植物が好きな人
- 生きる意味を探している人
あくまでも、私個人の感想・意見です。
最後に
『線は、僕を描く』を紹介しました。
いろいろと考えさせられて、読んでいるときも心地よさを感じるステキな小説でした。
この本に出会えてよかったと思います。
これも、トークライブに参加できたからこそ出会えた本なのですが、ちょっとした行動で感動が味わえた経験でした。
だから、やっぱり少しでも興味を持ったら、行動することが大事ですね。
この本に書かれていたように、やってみることが大事ってことだね。
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